caravan yourwear go to 土脈 vol.7

caravan yourwear go to 土脈 vol.7

僅かな糸や小さな端切れさえも捨てられなくなったきっかけは、yourwearを始めるずっと前、20代の頃。
愛知県一宮市の小さな織物工場の見学でした。

住宅地にある、薄暗く小さな工場。
昔ながらの織機を使って、家族で営む工場だったと思います。
見せてもらったのは織機が動いている様子ではなく、織り始める前の、下準備の現場。

そこでは、ぴんと張られた無数の経糸が宙に浮き、一枚の生地が出来上がる迄、この糸がどれだけ行き来するのだろうと、眺めながら気が遠くなるようでした。
工場の方と言葉はほとんど交わしていません。
ただ、その空間に居て、アテンドされている自分が途端に恥ずかしくてたまらなくなりました。

沢山の糸や生地の見本を集めて、新しい形を考えて商品にして販売する。
そして、販売する頃、時には販売する前、また新しい糸や生地の見本を取り寄せ始め、新しい形を考え始める、半年区切りの仕事のサイクル。
あたりまえに思っていたそのサイクル。
夢中でやっていたはずの仕事なのに、急に熱が冷めていくようでした。
だからといって、その頃はどうして良いのかもわからず、仕事のやり方も変えることはありませんでした。

でも、それ以来、糸も生地も、「捨てる」という事が出来なくなりました。

ゴミを減らす、とか、持続可能な、とか、そういった気持ちからでもありません。
(そういった気持ちが全く無いわけでもありませんが)

ただ、処分に迷う時、どうしてもあの景色と感情が浮かんできてしまって、手から離す事が出来なくなります。

caravan yourwear go to 土脈
2023.3.10(fri) - 3.15(wed)
11:30 - 17:30
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